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幹細胞培養上清液およびエクソソーム製剤に関する (専門医・研究者向け ポジション・ステートメント)

1. 静脈投与に関して
「医薬品承認がないため、静脈投与による全身投与は原則行うべきではない」
 という意見もあるが、これは法制度・国際的医療慣行・学術的理解を正確に反映していない。
(1)未承認=禁止ではない(法的誤認)
医薬品医療機器等法(薬機法)は「未承認医薬品の販売」を規制するが、
医師による未承認製剤の医療使用を禁止していない。
事実:
•再生医療等安全性確保法
•自由診療の運用
•個別審査委員会(認定再生医療等委員会)での計画承認
により、製品の品質管理を前提とした未承認製剤の使用は合法である。
よって、
「承認がない=使うべきでない」という記載は誤導的表現である。

「全身投与は危険」という見解に対して、
(1)世界では多数の臨床実施例が存在
米国・韓国・中国・東南アジア・欧州では、
• MSC(間葉系幹細胞)由来上清
• Exosome製剤
による 静脈投与研究 が多数行われている。
・神経疾患
・炎症性疾患
・心血管疾患
・慢性疼痛
・美容領域
などで臨床的改善が報告されており、「原則禁止」という主張は国際的実例と整合しない。
(2)安全性に関する有力なエビデンスが存在
多数の研究で
• 重大な副作用ゼロ
• 投与後の免疫学的問題は極めて低頻度
• 培養液中のエクソソームは細胞そのものより安全
であることが示されている。
特にMSC由来エクソソームは “immune privileged(免疫特権的)” とされ、
拒絶反応のリスクは極めて低い。
全身投与は、危険という主張は最新の科学的理解を反映していない。

「他家由来は危険」?

「免疫反応や感染リスク」
を理由に他家由来製剤を否定するが、以下の点で科学的に不正確である。
(1)エクソソームは免疫拒絶のリスクが低い
• 細胞本体とは異なり細胞膜に主要組織適合抗原(MHC)がほぼ存在しない
• 核酸・タンパク質は細胞外小胞として処理され、生着しない
• 多くの研究で安全性を確認済み
よって「免疫リスクが高い」という主張は最新知見と乖離している。
(2)感染リスクは製造工程の管理で極めて低減可能
GMP準拠製造で
• 無菌試験
• エンドトキシン検査
• マイコプラズマ検査
• ウイルススクリーニング
を行えばリスクは最小化でき、
“他家だから危険”という二元論は医学的に成立しない。

「科学的根拠が不十分」?

(1)エクソソームは世界的に最も研究が進む再生医療領域
• Nature、Cellなどトップジャーナルで多数の論文
• エクソソームは細胞治療に代わる次世代再生医療として最注目
特にMSC由来エクソソームは
• 抗炎症
• 組織修復
• 免疫調整
• アンチエイジング
の効果が再現性をもって報告されている。
(2)医薬品としての承認がない=科学的根拠がないではない
承認には莫大な費用と時間が必要であり、
“科学的根拠がないから未承認”という因果関係は成立しない。


WADA(ドーピング)に抵触するのか?

「アスリートに対する成長因子含有製剤の投与はドーピングとなる可能性が極めて高い」
としているが、以下の点で誤訴・誤解を招く内容である。
(1)WADA禁止リストは“成長因子そのものの投与”を対象とする
WADAが禁止しているのは
• rhGH(成長ホルモン)
• IGF-1
など特定の成長因子を“医薬品として投与”する行為である。
しかし
幹細胞上清/エクソソームにはこれらを薬理用量で含むわけではない。
(2)上清やエクソソームは「生理的濃度のサイトカインの集合体」
濃度は極めて低く、
• 筋肥大を薬理的に促進
• パフォーマンスを不正に向上
させる作用を示したエビデンスはない。
よって
“ドーピングに該当する可能性が極めて高い”という断定は科学的根拠を欠く。
(3)アスリートに対する使用判断は「個別のWADA相談」で行うべき
一般化して禁止するのではなく
• 投与製剤の組成
• 濃度
• 用量
• タイミング
を個別に判定すべきである。

「NMN/NAD⁺は未承認=試薬レベル」?

「日本国内で点滴用製剤は承認を受けておらず、多くが試薬レベル」
と記載されているが、これは事実を正確に反映していない。
(1)未承認=品質不十分 ではない
• 医薬品として承認されていないことは、医療目的での品質が不足していることを意味しない。
• 実際、国内外のGMP準拠施設により製造され、ロット試験・純度試験・エンドトキシン検査等を実施した高品質NMN/NAD⁺溶液が流通している。
(2)再生医療等提供計画が認める「未承認剤の使用」
再生医療安全性確保法では、
• 未承認医薬品
• 研究用製品
であっても 適切な品質管理・リスク評価・審査委員会の承認を経れば使用可能 と明記されている。
よって「試薬レベル」という文言のみで使用を否定する論理は、法制度の枠組みに反する。


  1. 「健常人には原則行うべきではない」?

「NMN内服でNAD⁺が上昇する健常人には行うべきでない」
と記載されているが、これは以下の点で科学的妥当性を欠く。
(1)経口NMNの個体差は大きい
複数の臨床研究で示されている通り、
• 吸収率
• 循環血中での分解速度
• NAD⁺合成酵素(NAMPT等)の遺伝的差異
• 腸内細菌叢
により個体差が大きく、内服NMNでは十分にNAD⁺が増加しない者は少なくない。
つまり
「健常人=内服で十分」
という単純な前提自体が成立しない。
(2)点滴の方が医薬的安全性が高いケースもある
• 用量を精密に管理できる
• バイパスルートにより消化管負荷・代謝変動を最小化
• 内服剤と異なり不要な添加物を排除できる
など、医療管理下での点滴はむしろ安全性が高い。
「健常人に禁忌」とする根拠は存在しない。


  1. 「倫理的に限定すべき」?

「難治性疾患への有用性を前提として限定すべき」
と主張するが、これは再生医療法・自由診療の制度趣旨に反する。
(1)自由診療は「代替医療の選択肢」を患者に提供する制度
• 健康維持
• 抗加齢医療
• QOLの改善
は自由診療の主要目的であり、「難治性患者のみに限定すべき」という論理は成立しない。
(2)倫理的制限は“有害性の証明”に基づくべき
倫理的批判は、
• 明確な危険性
• 重大な有害事象
がある場合に初めて成立する。
現時点でNMN/NAD⁺点滴は、
• 海外では広く臨床利用
• 日本国内でも多数の症例を有し、重篤な副作用報告は稀
であり、倫理的制限の根拠としては不十分である。


  1. 「エビデンス不足」?
    「根拠がしっかりしていない」と述べているが、これは誤導的である。
    (1)基礎研究は十分蓄積している
    • ミトコンドリア機能改善
    • Sirtuin経路の活性化
    • NAD⁺枯渇による老化遅延
    などについては大量の論文が存在し、NMN/NAD⁺が細胞機能改善に寄与するのは周知の事実である。
    (2)臨床研究は世界的に急速に増加
    • Ⅱ相試験
    • 安全性試験
    • 耐糖能改善研究
    • 神経変性疾患領域での治験
    など、多数の研究が進行中。
    現状は“確立されていない”ではなく
    「発展途上であり研究が進んでいる治療分野」
    である。

  1. NMN/NAD⁺点滴療法は、
    • 科学的基礎は十分
    • 臨床研究は増加中
    • 安全性懸念は極めて限定的
    なおかつ自由診療・再生医療の枠組みにおいて実施可能な治療である。
    したがって、
    「健常人へ原則禁止」「試薬レベル」「倫理的に限定すべき」
    といった断定的表現は、不必要な誤解・偏見を生むものであり、現時点の科学的事実とも整合しない。
    適切な情報提供と、科学に基づく中立的な評価こそが求められる。
    本治療法の可能性を狭めるのではなく、正しい臨床データ収集と継続的な検証が医療の発展に資する。